東京地裁判決では、3人の合議制裁判は、昭和60年報告の労働者性判断基準を提示した。その各要素(1)から(5)は「契約義務ないし目的」に基づいて、労働者性を否定した。各判断基準については#2参照のこと。

しかし、補強的要素の(6)事業者性は「労働者性がある」とまで言及し、(7)専属性は「専属性がある」とした。 また、労働者性を肯定する事実も(1)から(7)のすべてが認定された。

強行法規の労働法とは「弱者保護」のため、当事者間の契約に介入できる。この法規範の適用は、労働実態が客観的に当てはまれば適用される。労働法が強行規定であることを、東京地裁の角谷昌毅裁判長ら3人は知らないのか無視したか。

本判決は「契約」を根拠として、スーパーホテル支配人たちの労働者性を否定した。しかし、同時に事業者性についても否定している。

つまり、スーパーホテル支配人・副支配人は労働者でも事業者でもない。

東京地裁の裁判官らは、政府自民党が40年間も指導してきた、これこそ昭和60年報告の「労働法潜脱制度」の使い方を実演したことになる。どちらか白黒つけるべき裁判所が判断しない自民党の脱法制度は、司法にさえも蔓延していることが実証された。

この判決は、本判決は、たくさんの労働法学者を激怒させている。

控訴審の控訴理由書には、複数の弁護士と法学者による有識者会議での議論が盛り込まれた。高裁への意見書は同志社大学・土田道夫教授が執筆している。また、『労働法律旬報2087号』では国学院大学・本久洋一教授が本判決を厳しく批判している。その詳細は#3で取り上げる。